認知行動療法 講義ノート(1)
ちょっとしたきっかけにより、私は心の健康についても興味を持っています。
そんな中、早稲田大学の熊野宏昭先生がyoutubeに認知行動療法についての講義の動画をアップロードしていることを知りました。
http://hikumano.umin.ac.jp/index.html
http://hikumano.umin.ac.jp/cbt_kougi.html
欧米は特にそうですが、今は大学の講義がオンラインで無料で受講できますね。
学費を払わずに大学の講義が受けられるのですから、良い時代になったものです。
さっそくyoutubeを見たのですが、ただ見るだけではもったいない、ということで、ノートを取ることにしました。
さらに、そのノートを備忘を兼ねてブログのエントリーにしてしまおう、と思い立ち、ここに記事を書くことにしました。youtube動画のまとめみたいなものですから、まぁいろいろと大丈夫だろう、ということで。
果たして講義を最後まで聞き続けられるか心配ですが、ともかくマイペースに始めることにします。
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講義1回目
この講義は認知行動療法の特徴について解説する。
また、行動療法、認知療法 それらを統合されつつある新世代の認知行動療法について解説する。
認知行動療法は臨床心理学が扱う病態毎の治療戦略の一つ。
気分障害 不安障害 心身症 生活習慣病 摂食障害 身体表現性障害などに対してはストレスマネジメントが不可欠。
現実にどんな問題があるかを分析しそれを解決していく → 認知行動療法
障害の概要
1.気分障害・不安障害
ストレス→大脳辺縁系→脳の機能的障害
2.心身症
ストレス→生体機能調節系→臓器の機能的・器質的障害
3.生活習慣病
ストレス→生活習慣の歪み→臓器の機能的・器質的障害
4.行動異常・心因性疾患
ストレス→不十分なストレス対処→心理・行動面の障害
臨床心理学的な介入
現実思考的介入(生活面へのアプローチ)
・生活習慣の是正
・リラクセーション法
・東洋的治療法
→森田療法、内観療法、絶食療法、ヨーガ、気功法、マインドフルネス
・家族療法
生活習慣が悪化すると、うつ病が悪化する。うつ病とは生体リズムが乱れると悪化
するため。生体リズムが乱れたために、うつ病を発症するケースがある。
うつ病⇔生体リズムの関係がある。
朝の6時~10時の間にずっと寝ていると昼夜逆転の睡眠になる。
6時~10時の間に光を浴びることがとても大事。
摂食障害(過食、拒食)は1日のうちに3回食事を摂ることが大事。
24時間の生活リズムを整えることで摂食障害も良くなる。
・リラクセーション効果
ストレスが心身の慢性緊張状態を作る。これをほぐしていくと、ストレスの影響を
緩和していくことができる。
人間は火事場の馬鹿力(一時的なストレス)は耐えられる。これが慢性化すると体に影
響が出てくる。
リラクセーションは毎日続けることが重要。例:腹式呼吸で夜寝る前に体をリラック
スさせる。
毎日やっていると、リラクセーションが溜まってくる。ストレスは溜まるが、リ
ラクセーションも溜めることができる。リラクセーションが溜まってくると、ストレ
スに強くなってくる。
(ストレス(-)をリラクセーション(+)で中和するイメージ。)
・東洋的治療法
森田療法→あるがままに生活しようとする方法
マインドフルネス→認知行動療法に取り込まれて今発展している
目の前の現実を等身大でとらえて受け入れられるようにする
訓練方法
認知機能を高める効果があるといわれている。
・認知リハビリテーション
認知機能自体を鍛えようとするアプローチ
認知機能とは:前頭葉機能 思考のベースになるような基礎的な認知的働き
例:注意制御機能(注意を切り替える力)等しく注意を分割できるか
(気を配る行為)
うつ病の人は注意ができなくなる。集中できなくなる。例:新聞が読めないなど
注意を向けているが、他のことを併せて考えてしまっているため、(反芻が起こっ
ている)注意の持続ができない。
注意機能を高めることによって、反芻や心配(不安障害の場合)が減るということ
がわかってきている。
認知機能その他:ワーキングメモリ 実行機能(意思決定、抑制)は認知機能の一部
認知療法における認知:思考そのものを指す(認知の定義 認知機能とは異なる)
→認知療法とは思考を変える治療法
臨床心理学的介入(パーソナリティへ)
・内省的治療法
→力学的心理療法
→人間性心理学的治療法
・カウンセリング
・クライエント中心療法、フォーカシング
現実指向的、内相的治療法のどちらを選ぶかは、病態、発達段階、クライエントの意
思による。
・パーソナリティ障害
子供のパーソナリティのまま大人になってしまって、大人になってから障害が出
る。→クライエントに大人になってもらう治療をする。
2年以上時間がかかるので、認知行動療法ではここまでの介入はしない。
生活習慣の是正(についての概要)
・生活習慣=基本的な習慣的行動
→食事、運動、飲酒、喫煙、休養
・生活習慣病等には直接的な効果がある。
リラクセーション法(についての概要)
・ストレス→慢性の心身の緊張状態
・生体機能調節系(自律神経、内分泌系)のバランス回復効果がある。
・「体質を変える」長期的効果が重要
・具体的な方法
→自律訓練法、自己統制法、漸進的筋弛緩法(身体に力を入れて力を抜く方法
簡単だが非常に効果が高い方法)、腹式呼吸、呼吸を数える方法
・東洋的治療法の一つの核になっている
→絶食療法、ヨーガ、気功法
・生活習慣の改善やリラクセーション法だけで症状が改善しない場合適用される。
・偏った思考・行動パターンの変容が必要。
・より特異的な習慣的行動へのフォーカス
・認知行動療法の対象になるのは、病気の発症ではなく持続
→持続とは:普段身体的には自然に健康になるように作られている。
→不健康であるのは、偏った方向に持続している思考があるから
持続要因にフォーカスする。
・主訴のみならず、文脈に注目することで、幅広い問題に対処可能になる
→行動に注目 形ではなく働き(機能)に注目する。
行動というのは環境が変わると変わる。
例:職場での行動と家での行動は違う→環境が変わるため
発達段階による変化の起こり方の違い
我々の人生は、徐々に変化するときと、大きく変化するときがある。
・節目の時期は、開放系になり、非連続的な(第2水準の)変化が起こる。
(突然これまでと全く違うことが起こる。非連続なので因果律が成り立たない。
拘束条件(自分の枠組み)と初期条件(自分はどちらに踏み出すのか)による制
御)選択をする、という問題に直面する→広く文脈をとらえると判断できるように
なる。
・それ以外の時期は、近似的に閉鎖系として振る舞い、連続的な(第一水準の)
変化が起こる。(因果関係(機能関係)による制御)
大きな変化はだいたい20年に1回来るといわれている。
1歳半~3歳:一人でいろいろなことができるようになってくる
分離個体化(母から離れて自ら個となる)の時期
20歳前後:成人への過渡期(社会に出ていくにあたり大きな変化が起きる)
40歳前後:人生半ばの過渡期
以上